当人とは何の関係もない天神学園がこの騒ぎなのだ。

爆心地たる喜屋武家と橘邸は大変な大騒ぎになっている。

天神地区の大地主たる喜屋武家と、古くからの天神地区の名家である橘家。

その両家が親戚筋となるのだ。

最早天神地区を掌握したと言っても過言ではあるまい。

「いやいや…」

緩々と首を横に振るのは、白髪混じりの黒髪、浅黒い肌、彫りの深い顔立ち、絹の着物を纏った壮年の男性。

喜屋武家の主、喜屋武 忠邦(きやん ただくに)。

長く続く大地主としての喜屋武家を継いだ五代目。

天神学園や天神学生寮は勿論、調べていくと天神モールやその他の土地も彼が所有している。

実質的な天神地区の持ち主と言っても過言ではない。

莫大な財産を持ち、天神地区の市政にまで影響を及ぼすほどの権力を持つのだが…。

「橘家に比べれば、ウチなど只の平凡な家庭に過ぎない…まさかペインが橘の御子息に嫁ぐ事になろうとは…このような名誉があろうか」