蜘蛛の子を散らすように逃げ去っていく数人組。

「ケッ」

嘲笑って、俺は歩き出す。

俺が新聞配達して金を稼いでんのは、おめぇらみてぇな奴らにカツアゲされてやる為じゃねぇっての。

俺はふと顔を上げた。

ここらは咲花んちの近くだな。

まだ小学生の咲花。

こんな時間じゃ、もう寝てるだろうな。

紅月狼の末裔だけど、真面目で普通の娘って感じの咲花。

俺と同じ人外だけど、そういう匂いはあんまり感じさせない。

そこがまた可愛いっつーか…。

妹がいたらあんな感じだろうな。

そんな事を思いながら、俺はもう一人の『妹』の家の方へと歩いて行く。