「んー…そうだか…」

手の中で力強く動くカブトムシを見るシルヴィ。

「おれも、兄ちゃんや姉ちゃんと離れ離れになって、檻の中入れられたら嫌だ、んだ、そうする」

シルヴィは近くの木にカブトムシをとまらせる。

「捕まえて悪かっただ、帰っていいぞっ」

「捕まえて帰らない代わりに、写メ撮って帰ればいいよ」

咲花がスマホを取り出して、木にとまっているカブトムシを写す。

「シン先輩や瑠璃先輩のとこに送っておくね」

「うわぁいっ、有り難う咲花っ!」

両手を上げて喜ぶシルヴィ。

「ちょっと待て」

龍之介が止める。

「鬼龍んとこには、こうやって送信しろ」

何やら悪巧みする龍之介。