そうやって龍之介がぶん投げられて地べたに這い蹲っている頃。

「……」

孔雀は天神学園近くの竹林にいた。

納刀したままの四季を携え、静かに佇む。

曇天からは、静かに雨。

シトシトと降り注ぐ雨粒が、孔雀の前髪から滴る。

孔雀は瞬き一つせぬまま、直立の姿勢を崩さなかった。

その眼は、一体何を見つめるのか。

殺気も闘気もなく、そこに立つ。

その姿は限りなく虚無に近く、近くを通りかかった者でさえ、気配の希薄さ故に孔雀の存在に気付かぬほどだった。