「か、怖ぇだ!龍之介刺されてねぇかっ?大丈夫だかっ?」

「あ、ああ…」

シルヴィに頬を撫でられ、龍之介は頷く。

完璧にシルヴィの中でエライ事になりつつある蚊だが、面白いので敢えて訂正しないでおく。

「梅雨時の蒸し暑い時期には、いっぱいいるんだよ、蚊」

「い、いっぱいいるだかっ?」

咲花の言葉で更に脅えるシルヴィ。

一人でガクブル震える。

「か、怖ぇだ…夏、怖ぇだ…兄ちゃんや姉ちゃんも、かに刺されて血ぃ吸われねぇように、おれが守らねぇと…」