千載一遇のチャンスだったのに。

憧れの相合傘の夢は砕けて散った。

「ご、ごめんアル瑠璃…置き傘…霸龍闘が先に使って帰ってしまったアル…」

ジワリと瞳に涙まで浮かべる鬼龍。

そんな相合傘したかったんか。

「何も泣く事はなかろう、鬼龍」

瑠璃がポンと彼女の頭を叩く。

「ならば…少しここで待っていろ」

瑠璃は鬼龍を残し、一旦校舎の中へと戻っていく。

5分ほどして、戻ってきた彼が手にしていたのは一本の傘。

「職員室で母上から傘を借りてきた。母上は父上の傘で一緒に帰るそうだから…鬼龍、この傘で二人帰ろう」

「え…」