ある時代には不老不死、ある時代にはあらゆる病をたちどころに治す奇跡の薬。

龍の血とは、万能の妙薬として古代より語り継がれてきた。

邪を退け、呪いを解き、異常を正常に回復させる。

「めのうに吸血なんて真似はさせたくなかったんだがな…生憎と元の人間に戻すにゃ、わざと俺の血を吸わせる以外に方法思いつかなかった」

そう言って、龍之介はめのうと並び立つ。

「よっくも好き放題やってくれたわね、黒爪」

しなやかな美獣の如き鋭い眼差しで、めのうが黒爪を睨む。

「泣き見る覚悟は出来てんだろうな…」

拳を鳴らす龍之介。

「くっ!」

破綻した計画、それでも何とか状況を好転させるべく、黒爪は間合いを詰めて蟷螂手で攻撃するが。

「「はっ!」」

龍之介とめのうは、同時にバック転してその攻撃を回避。

一旦距離を置いてから。

「「はぁっ!」」

右と左、鏡写しのように上段蹴りを繰り出して、黒爪の頭部を打つ!