瑠璃一味のお戯れな学園生活

為す術もない。

只の腕比べならばめのうに反撃もしようが、今の彼女は黒爪に操られているようなもの。

そんなめのうに拳を振るうのは忍びない。

「先程までの非情は何処へ行った?よもや女には手を上げられないなどという愚かな事は言うまいな?」

いいようにやられっ放しの龍之介に、黒爪が言う。

「…ツレの一人もいねぇ挙句、薄汚ぇ吸血鬼に成り下がったボッチ野郎がほざくなよ…」

傷の痛みに顔を顰めつつ、龍之介が反論する。

口は達者だが、その実、追いつめられていた。

模擬戦闘ではない、実戦なのだ。

ましてやめのうは吸血鬼にされてしまっている。

参ったなどとは絶対に言わない。

ならば止める方法は、行動不能になるほどの傷を負わせるか、或いは…。

(それができりゃあ苦労しねぇよ…)

龍之介は初めて、瑠璃一味の仲間になった事を悔やんだ。

(何やってんだ俺は…龍の癖に…瑠璃一味の連中に絆されて丸くなっちまったもんだ…)