斬撃は、黒爪の骨にまで達していた。

当然だ。

めのうは奥義である紅縞瑪瑙に、極意の斬鉄まで仕込んだのだから。

極限まで集中力を研ぎ澄ませた、今のめのうに出来る有りっ丈。

まだ慣れない斬鉄を奥義に重ねた為、消耗が激しい。

その場に片膝をつき、激しく呼吸を乱す。

擦れ違い様の一撃は、確かな手応えを感じさせていた。

もしあの奥義を受けたのが瑠璃一味の中の誰かだとしても、確実に命を落とすレベルだろう。

故に、瑠璃一味相手ならば繰り出す事はしない。

斬鉄仕込みの奥義を放ったのは、容易には死なぬであろう、しかしこの程度しなければ動きを封じる事が出来ぬであろう相手だったから。