それでも。

「骄傲的套装粘糊糊…(自慢のスーツがベトベトだ)」

傷ではなく、身に付けているスーツの方を気にする黒爪に、めのうは絶句する。

人外なら、仲間にもいる。

龍之介、咲花、シルヴィ。

だけど彼らは人外らしさを感じさせない、血の匂いも翳も見せない親友だ。

それに比べて黒爪はどうだ。

異質さが際立っている。

人間とは明らかに違う、闇の世界の住人の色が強い。

血塗れになりながらも、シトシトと降る雨の中でゆっくりと歩を進める彼は、化け物以外の何物でもなかった。