深々と突き刺さった夜桜。

その刀身を、大きく薙ぐ!

「赤蘇芳(あかすおう)!」

多量出血を狙いとした剣撃。

本来は頸動脈または急所を一気に斬りつける。

が、この赤蘇芳は、切っ先を突き刺した状態からの斬撃。

より深く傷が斬れ、より大量の血が噴き出す!

にもかかわらず。

「哎呀(やれやれ)」

重傷を負った者の反応とは思えぬほどに、黒爪は落ち着いていた。

「吸血鬼にとって血は何より貴重なものだというのに…」