項にかかる吐息に、めのうの身の毛がよだつ。

「ほぅ」

瞬時にして背後をとった黒爪は、両手でめのうの美しい髪を掬い上げた。

「よく手入れされている…まるで絹の如き髪だ…甘酸っぱい香りもする…切って売れば、髪だけでも相当な値になるな…美しい少女の身体の一部というだけでも、大枚をはたく輩はいる…人体蒐集家という奴だ」

「っっっ…!」

そんな変態嗜好の輩に自分の自慢の髪が売られる。

想像した途端に鳥肌が立って。

「触るなぁぁあぁあぁぁぁぁっ!」

逆手に持ち替えた夜桜の切っ先を、背後の黒爪の腹に突き立てる!