ギータを刺激しないように、ゆっくり、ゆっくりと距離を縮めていく三人。

ギータはこちらを見ていたが、時折余所見すらして、あまり瑠璃達に興味を示していないかのようだ。

「俺達なんざ敵どころか獲物としてすら見ていないって事か…」

「癪に障るぜ…馬鹿にしやがって…」

龍之介とシンが呟くが。

「おかしな真似をするなよ。今は野菊の救出が最優先だ」

瑠璃が二人を抑える。

小屋まであと5メートルほど。

ギータはこちらを見もしない。

「野菊、待たせた。迎えに来たぞ」

シンが声をかける。

「みんなっ」

野菊がドアに手をかけ、出ていこうとする。