「んー、『brown』のパンケーキタワー美味しい♪」

めのうがとろけそうな笑顔でパンケーキを口にする。

やはりクリスマスの主役はケーキである。

クリスマステロでは、天神学園生徒御用達の喫茶店『brown』のパンケーキが特大のクリスマスケーキとして準備されるのが通例となっていた。

ショートケーキにして凡そ200人分の大きさ。

しかしそれ程の量でさえ瞬く間になくなる為、今回はパンケーキタワーを二つ準備してある。

それでも時間の問題だが。

「鬼龍ちゃんも食べて食べて、もうホッペ落ちそう♪」

「ああ、うん…」

切り分けられたケーキの皿を受け取りつつ、鬼龍がチラチラ見るのは瑠璃の顔。

「る、瑠璃もどうアルか?大きな苺が乗って美味しそうアル」

「え?ああ、有り難う…」

皿を受け取りながら、瑠璃は不思議そうな顔。

何か、この中華娘、急に優しくなったんですけど。

さっきまで余計なお世話とか言ってたのに。