「過酷な環境に棲息する魔物ほど高い能力を持つ傾向にある…普通に考えると、天空険道の頂上付近ほど強い竜種がいる筈…」

リィの言葉でシンも頷く。

「じゃあ早く野菊を迎えに行かないと、その強い竜種とやらに襲われるかもしれないアルな」

鬼龍が掌に拳をパシッ!と打ち付けた。

そうと決まれば。

瑠璃一味はカルデラ湖を迂回して、天空険道の更に上へと進んでいく。

初夏でも万年雪を頂く天空険道。

都市部に比べると気温も極端に低く、場所によっては凍土と化した足場や氷壁、槍のような氷柱が残っている。

雪山というよりは、切り立った岩と氷の絶壁だ。