嫌がったバラウールは、龍之介の方を向いて口を開く。

「炎かっ?」

警戒するシン。

しかしバラウールが吐いたのは、白い煙のような気体だった。

「霧?靄?」

めのうが言う。

靄を起こして狩猟者の目を欺き、その隙に襲うという狡猾な戦法が、バラウールの常套手段だった。

このまま攪乱して、やはり逃走するか、隙を突いて奇襲を仕掛けてくるか。

何にしても。

「視界の悪さに乗じる作戦は通用しない…」

先程の光の弾丸同様、リィが再び地面に向けて魔銃を撃った!