トンネル出口から吹き込んでくる、身を切るような冷たい風。

その寒風に怯む事なく外に出た瑠璃一味を待っていたのは。

「うわぁっ…」

頂を雲の中に突っ込む、切り立った山岳地帯の勇壮な姿だった。

幾つもの大小様々な岩山が連なり、千尋の峰を形成している。

これが天空険道。

数々の修羅場を潜り抜けてきた冒険者達でさえ、おいそれと踏破する事の出来ないA級狩猟区だった。

その中腹付近。

カルデラ湖が冷え冷えと凍て付いた鏡面の如き水面を湛えている。

カルデラとは火山の活動によってできた大きな凹地の事。

そのカルデラに水が溜まって出来た湖を、カルデラ湖というのだ。