瑠璃一味のお戯れな学園生活

「……」

白髪の女性が、淡々と会場を見渡す。

その傍らには、ネコミミをつけたエプロンドレスの女性。

「相も変わらぬカオスですね…」

コロコロと笑うその盲目の女性に。

「はい、月様」

エプロンドレスのメイドは恭しく頭を下げた。

元天神学園生徒会長、白神 月(しらかみ つき)と、専属メイドのイリア。

そして。

「何をやっているんですか…?」

月は肩越しに振り向く。

三歩後ろには、生まれたての小鹿のように膝をガクガクさせている青年が一人。

「何って月…昔の同級生に会ったりしてはみっともないだろう?(指差されてヒソヒソ話とかされたら照れ臭くって歩けないよっ、黒板に相合傘とか書かれたら…)」

久々の内面ツッコミを見せるのは、かつてこの天神学園で『皇帝』と呼ばれた本当はヘタレの男、水無瀬 遥(みなせ はるか)。

実は宇宙人なのは周知の事実。

(理事長それ言っちゃらめぇえぇえぇえぇえぇっ!)

クールな表情を保っていても、内心冷や汗ダラダラ。

そんなガラスのハートを。

「……」

他人の心を読む事の出来る月は、密かにほくそ笑む。

(いつまで経っても可愛い人…だから好きなんですよ、遥さん…)