「ねぇワンちゃん達、私達山子を探しているの、案内してくれる?後でご褒美にビーフジャーキー買ってあげるから」

『任せてくれ咲花姐さん!』『俺達姐さんの為なら犬ぞりでも引くぜ!』と言ったかどうかは定かではないが。

すっかり咲花に懐いた野犬達は、自慢の嗅覚を頼りに山子の匂いを辿っていく。

彼らもこの山を縄張りとする者達だ。

入らずの山の生態系の頂点である山子の事は知っている。

我が物顔でこの山に君臨する山子は、人間は勿論、この山に棲む全ての動物達をも蹂躙しながらのさばっているのだ。