放課後になり、私は帰る準備をしていた。




そうするといきなり


「は―――――るなっ♪」


「きゃっ!?」



後ろから胸を鷲掴みにされた。


「相変わらずのまな板ですねー。こんなんじゃ男を誘えないぞー」






「まな板で悪かったですね!まな板はまな板の魅力があるんですよーだ!」





この子は岡 美和。中学時代から同じテニス部に所属している大親友であり、恋の先輩でもある。




恋愛経験も豊富で彼氏持ち。どこに行っているかと思えばいつも男子に告白されている。



美和はとても信頼できるので、もちろん山本君の事は報告済みだ。





「でもやっぱ山本君カッコいいよ。頭は悪いけどまあそこも可愛いっちゃ可愛いし。なんせサッカー部のエースてのがポイント高いよねー。まあ、晴菜もよくあんなサッカー部の王子に心奪われちゃったな。競争率高すぎるでしょー」





そう、山本君の人気度はクラスだけでは留まらない。


前もサッカーの大会を美和と見に行った時だってほぼ山本君の応援の人ばっかだった。




違うクラスの子もいたし、中には先輩だっていた。



しかも皆可愛い。私がかなう人は多分一人もいない。




でもいいんだ。

この気持ちは………




「……いいもん。自分の胸だけに秘めておくもん!!」



自分のものだけにするんだ。



告白だってしない。




だって―――――



「………振られるのが怖いだけでしょ?」