「じゃあこの問題を……山本!やってみろ!」


今は理科の授業中。教科担任の小野先生が野太い声で山本君の名前を呼ぶ。


だが、当の本人は…相変わらず爆睡中だ。




こういう時って起してあげた方がいいのかな?


でもろくに話した事ないし…いきなり話かけると迷惑かな?







「………山本?問3の答えを言ってみろ」



もちろん、寝ている山本君は微動だにしない。



「センセー!もしかしたら尚樹寝てんじゃねー?」



山本君と仲の良いお調子者の倉持君が笑いながら手を挙げた。



その言葉を聞いた先生は案の定顔をしかめてこちらの方へ近づいてきた。



そして山本君の立ててある教科書を丸め、大きく振り上げて…


「「「「バッコ―――――ン!!!!」」」



小野先生の振り上げた教科書は見事山本君の頭にヒットした。


「いってえ!?何すんだよ小津!!」


「俺の授業の時に寝るとは良い度胸だな」


クラスの人気者である山本君が怒られているのを、クラスの皆は大爆笑している。



「しょうがないだろ!俺は昨日遅くまでサッカーの練習をしてたんだ!」



不覚にも必死な山本君も可愛いと思ってしまう私。


「センセー!こいつ俺と昨日夜遅くまで一緒にゲームしてましたー!サッカーの練習とかハッタリでーす!」




「ちょっ……倉持!昨日練習にサッカーの練習してだじゃないかよ!?」



「もういい!放課後、生徒指導室に来い。今日はとことんしばいてやる!」



「俺放課後部活ですよっ!?小津センセー、そこを何とか許してくださいよ
ー。俺の運動神経に免じてっ♪」



「………もういい。倉持、お前も山本と一緒に来い」


「ええ!なんで俺も!?」




もう授業所ではなくなってしまった。


というか、気づくと授業終わりのチャイムも校内に鳴り響いている。








後々聞いた話によると



倉持君と山本君はちゃんと生徒指導室に行ったらしい。