【短編】友達彼氏







「牧瀬、」



とりあえず、名前を呼んでみた。
飼い主に名前を呼ばれた犬みたいなスピードで振り向いた牧瀬に、少し、戸惑う。
呼んでみたはいいけど、どうしようか。


うーん・・・・



・・・・・・・



・・・・・そうだ



三秒ほど考え、私は牧瀬に手のひらを向けた。
牧瀬はというと、あからさまに困惑している。
それはそうか。



「手、」


「・・・うん」



私の一言で、どうやら察したらしい。
大人しく牧瀬は私の手に『お手』をした。

昨日より明るいから、牧瀬の照れた顔もはっきりと見える。
あまり昨日のことは思い出さないようにしていたけど、こんなふうに照れた牧瀬を目の当たりにしてしまうと、やっぱりだめだ。