「マジ、今のキイタ?
目ぇ合ってもニンシンするっつーの?」

「恐るべしイタリアンだっての・・。」


その一時間目
僕は四六時中ペースを掻き乱されて。


「パンツは脱がなくていいから。」


デッサンが始まる前は
ベルトに手を掛けようとするし・・


「モデルは動かない、口説かない!」


上半身裸でイスに座り、
携番のメモを生徒から受け取ってやがる。

眉間を摘みながらイチイチ注意する
息子の身になってみろ・・。


"あ・・粟国くん、あのね、
先生がモデルをお願いしたのよ。"

"そ。先生に頼まれちゃって♡"

「・・・・。」

先生の目は既に♡♡・・毒されたか。

どう言うつもりだ・・。
面談の時期ならともかく・・。

クソ・・なんでエロ親父の胸糞悪い
ジム通いの賜物な引き締まった腹筋なんぞ
描かなきゃいけないんだ・・!

ムカツク・・!!


「粟国くん・・それ・・
・・メタボリックに描き過ぎてない?」

「・・そう?」


これがさっき
君の肩を抱いた男の五年後さ。

・・・・気安く
古幸さんの体に触れやがって。

父の家は名家だが、東洋人の女を好み、
誑かしては娶ってる変態一族なのだ。

だから
僕にもいろんな血が入っている。

純粋なイタ系の血は結構濃いようで
今のこんな僕が造られた訳だが・・

僕はこの容姿について
あまり有難いとは思ってない。

人間不信に陥る事の方が多いからだ。

そのたんびに母は僕に言葉をくれた。
父が側にいない分だけ愛情をくれた。

僕はそんな素敵な母から
生まれておきながら、

「何でこんな男にダマクラかされたの!?」

って・・反抗期に言った事がある・・。


それも仕方ない。。
父に一目ボレされた当時の母はまだ・・

ああぁっ・・!

想像するだけでこの、ロリコン詐欺師に
嫌悪感を抱かずにはおれない僕なのだ・・。