「掃除当番、代わってあげる。」


粟国くんにそう云って、無理やり
江崎くんに彼と一緒に帰って貰った。

ゆっくり、休んで欲しいと思ったから。


「ねえ、聞いた?」

「何アレ?」


拭き掃除をしていると、
さっき粟国くんを心配してたコ達が
二人、私に近寄ってきた。


「あぁ・・。」


呆れて笑うしかない。

実は昼休みまでの間、瞬く間に
広がった・・誰かの自慢話のせい。


「あの女、ピースとかしてたって。」

「粟国くんもナニ考えてんの?」


私は机を拭きながら、そんな事を想像した。

一年生が・・彼とベッドを共にしてる
写メを携帯の待ち受けにしてるらしい。

一年生じゃ、
アイドル並みに可愛いと評判の女の子。

私も廊下ですれ違った事がある。

黒々としたロングへアーで
目のパッチリしたコだった。


「・・粟国くん、凄く真面目だし
絶対そんなコトしないと思うよ・・?」


女の子と付き合わないで
体の関係だけなんて・・あの人じゃ
ちょっと考え難い。


「ほら、いろんなソフトがあるでしょ?
ひょっとしたら合成かもしんないし。」

「フォトショとか達人とか?」

「ああー・・ありうるね。」


皆、彼には
窓辺の君であって欲しいんだろう。

私にも相当ショックだったけど
今までの彼を信じてあげたかった。


「色欲のまま
遊びでシてしまう人とは違うよ・・。」


そんな・・オサルな人じゃないよ。