鏡の中の彼女

本当に、何をしたんだろう。


何をしたら病院で、誰かに泣かれて、名前の確認をされて答えられないなんてことがあるだろう。


「君は事故にあったんだ」


「...事故?」


「そう。
...だから体が変な感じがするだろう?」


言われてみれば、そうかもしれない。


何かの感覚が足りないような。



「先生」



さっきこの医者と一緒に入ってきたもう一人の人が呼びかける。



そして2人で何かを小さな声で話し始める。



眩しい部屋で目を開けているのが辛くて、目を閉じる。



そうしているうちに、意識が遠のいていく。