「自分に何が起きたのか、覚えていますか?」



何が起きたか...


分からない。


ただ、ふわふわとした世界を浮遊していたような気がする。



だけどそれはこの世界ではないということを、俺は知っている。



「覚えてないです」



「そうか...じゃあここがどこかは分かる?」


「病院...でしょう?」


それだけは確かに分かる。



他のことはわからなくても、それだけは。



そして、目の前にいる人が医者だということも。


「俺...何したんですか?」