「陵ちゃん」


小さい詩織が俺のことを呼んでいる。



「陵、遊ぼう」


小学生の時の友だちも、たくさん。



「いってらっしゃい」


卒業式へ送り出す家族の笑顔。



「斎藤くん」


...それから、隣の席に座る夏子。


「眠いな..」


眠そうな顔。


「陵、好き」


赤い顔、赤い耳。


記憶がぐるぐると回っている。