少し歩いたところで、携帯がなっていることに気づく。


まさか、と思って携帯のディスプレイを見る。



『夏子』


ほっとして、思わず息をついた。



「もしもし?」


『あ、もしもし?ごめんね、だけど渡すものあったのに忘れちゃってて』


「あ、じゃあ取りに行くわ」


『うん、じゃあ交差点のとこで待ってるね』


渡す物ってなんだろう?


よく分からないけれど、急いで目的の場所まで引き返す。



交差点に着くと、ちょうど横断歩道の向かい側に夏子が見えた。



向こうの夏子も俺に気づいて大きく手を振る。