「じゃあなー」


「うん、ばいばい」


夏子が少し暗くなり始めた住宅街を歩いていく。


時折振り返って俺に手を振りながら。


俺に2回手を振ったところで、彼女は自分の家に入っていった。


俺も自分の家に向かって歩きだす。


1個先の駅との途中にある自分の家まで。


詩織の手術は今日だ。



今頃はもう終わっているはず。


親から何も緊急の連絡がないあたりからして、無事終わったんだろう。


心配な気持ちもあるけれど、



「絶対に、明日は来ないで」



と昨日詩織に言われているので、絶対に行かない。