「うん、行く!」



こんなに屈託のない笑顔を見せられたら、どうかしちゃいそうだ。



善人の夏子と、悪人の俺、っていう風に思えて仕方ない。



「陵はどこ行きたい?」



「ん?夏子の行きたいとこでいいよ」


うーん、と夏子は難しい顔をする。


しばらくして、でもやっぱり、と切り出す。



「いつもうちの行きたいとこばっかだからさー、たまには陵の行きたいとこ行こうよ」


「...なんでそうなるの」


「男女平等」


夏子はそう言ってにひ、と笑う。



それじゃあ意味ないだろ、と心の中で返す。