鏡の中の彼女

たどり着いた廊下の端の踊り場から、反対側の端まで歩く。



そこを右に曲がって、左手にある突き当りから2つ目の大部屋。


ふぅ、と息を整える間に、



「あ、陵ちゃん」


と呼ぶあいつの声が聞こえた。



...心の準備が出来ていない内に、この世で最も見たくない痩せてしまった幼馴染の姿が目に入る。



「ちょっと待ってて」



彼女は大部屋から出て休憩室で俺と話すために準備を始める。



それで俺は少し安心する。



彼女から一瞬でも目を逸らせたことが。