夏のカケラ

8月9日・・・


僕らは入場門の前にいた。


「ああ・・・緊張してきたな・・・」


カズが首を回して言う。


「ヒロ、今日はトチるなよ・・・おい、ヒロ!」


カズの言葉に僕は何も答えない。


僕の緊張はピークに達していたのだ。


昨日のリハーサルで僕は噛みまくった。


それを夕方のニュースで流されて、全国の親戚からヒロは大丈夫か?と言う電話がウチに何回も有ったらしい。


母親は泣きそうになりながら、「二谷君か三井君に代わって貰え無いの?」と電話をして来た。


僕はよっぽどそうしようかと思ったが、監督から「これだけたくさんの高校球児がいる中でたったの一人しか出来ない事だから頑張れ」と言われ、仕方が無かった。


「もうすぐ、開会式が始まります!」


係員の人が叫んだ。