夏のカケラ

『三番!キャッチャー!一ノ瀬君!』




ウグイス嬢の声が響いた。


僕らのスタンドから、涙混じりの声が聞こえて来る。


「一ノ瀬ー!頼むぞー!!」


「ここまで来たんだ!!!」


「頼むーー!!!」


スタンドのみんなが泣きながら叫んでいる。


女子生徒は手を組んで、祈っている。


商店街の人達は、叫びながら旗を振っていた。


僕はそのスタンドを見つめ、息を吸った。


打席に入り、大きくバットを回した。


「よく頑張ったな・・・」


キャッチャーの奥野が呟いた。


僕はチラッと奥野を見て、笑った。


「まるで終わったみたいだな・・・」


僕が答える。


「終わりだよ・・・もう!」


奥野はミットを構えた・・・