夏のカケラ

スタンドからの歓声はマックスを迎えている。


僕らは円陣を組んでいた。


「後2点だ!絶対に入る!」

「塁に出ろ!俺まで回せ!」

「一気に逆転だ!」


みんなが口々に叫んでいる。

全員の顔が必死だ。


「クロー!」


監督がクロを呼ぶ。


「オウッ!」


クロはヘルメットを被り、少し強張った顔で監督の前に立つ。

監督はクロの顔を見つめて、そして笑った。


「彼女は・・・見に来てるのか?」


監督の言葉にクロは一瞬戸惑ったが、すぐに頷いた。