夏のカケラ

『四番、ファースト、二谷君!』


期待の大歓声が場内に沸いた。

アキラはそれを背に受け、ゆっくりと打席に向かって行く。


ふと、一塁ベース上にいるヒロを見ると、笑顔で声を出している。


・・ホントに、お前って奴は・・・

アキラは何故か苦笑いをした。

自分も美味しい目をして、俺にも残してくれるとはな・・・!


大歓声が、アキラの耳に届いている。


ヒロ・・・


お前と出会えて・・・ホントに良かった・・


アキラは、ふと中学生の頃を思い出した。

アキラの中学は、野球部が強く県大会も常に上位に入るチームだった。