夏のカケラ

僕はマウンドを後にしてホームに戻る。

そして全員に声を掛けて、しゃがんだ。


僕がこの球を投げさせたく無い理由は、二つ有る。

一つは、生野学園に見せたく無い・・・。


ムネオはセットポジションを構えた。


そして、ゆっくりと足を上げた。


もう一つの理由・・・

それは・・・


ムネオの腕がしなり、ムネオの手からボールが離れる・・・!


僕が・・・

捕球出来る確信が・・・


ボールはストレートよりも、遅い球が来る。

神山は、絶好球を逃さない様にバットのグリップをしっかり持ち、スイングを開始させた。



無いからだ・・・!