夏のカケラ

ピンチを迎えたのは、3回の表だった・・・


板山商業の攻撃。ワンナウト、ランナー二塁、三塁。

バッターは四番の噂の神山だった。


僕とムネオはマウンドにいた。


声援が僕らの耳に響く。

「さ、ピンチだな・・」


神山とはこの試合、二回目の対戦だ。一回目はレフトフライに抑えた。

「ヒロさん・・」

ムネオが僕を見た。

「うん?」

ブラスバンドの応援が遠くに聞こえる。


「あの球・・・投げましょう・・・」


ムネオの言葉に僕は、顔色を変えそうに成った。


「・・・行く・・か?」


ムネオは力強く、頷く。


しゃーねーな・・・