夏のカケラ

「あ、いや・・・」

他の一年生が困った様に口ごもる。


戸坂はチッ!と言いながら西山の胸倉から手を外して、

「何でも無いっスよ!」

そう言ってそっぽを向いた。


クロは西山の方を見る。

「西山、大丈夫か?」

西山は目を逸らすだけだった。


「おい、お前は先輩に対してちゃんと返事しろ!」

ムネオがそう言うと、クロは手で制した。

「良いよ、ムネオ」

「でもクロさん・・」


クロは西山の前にしゃがみ込んだ。

「西山・・・」

「・・・はい」

「お前・・・練習が・・嫌か?」

その言葉に、一年生が全員ピクッとした。