夏のカケラ

一年生は声も出ない。

戸坂も口を開けたまま見ている。


これでも、ケンは7割の力だ。

全力投球をすれば、まだクロは捕る事が出来ない。


この冬でケンの球は更に勢いを増した。

「OKっす!」

ケンの言葉に打席に立ち構える。


カズが定位置より、かなり前のマウンドよりも前に立つ。


一年生が、ア然とした顔をする。


「ニワトリ小僧!よく見ておけ!」


カズの言葉に、戸坂は我に返る。


ケンが大きく振りかぶり、ストレートの球を僕に投げ込む。


かなりのスピードの球が僕の手元に来て、僕はそれを鋭いスイングで振り抜く。