夏のカケラ

カズの不細工顔が不敵に笑う。

「な、なんスか・・」

戸坂は、若干引いている。

「よし、じゃあ、ノックを打つぞ!」

そう言って、まずは戸坂が守備につく。


最初はショートの定位置からのノックだ。

僕がノックを打つと、戸坂はしっかりとボールをキャッチする。


上手い。


基本がキチンと出来ている。

それに、ボール勘も良い。

10球中10球共、捕球した。

一年生はびっくりして見ていた。


ノックを終えると、戸坂は勝ち誇る様に、カズを見た。

「ヘヘッ!」

「のけ!」

カズはそう言うと、戸坂の頭をグローブでハタいた。