夏のカケラ

僕はタイムをかけ、ムネオの元に行く。


ムネオは泣いていた。

泣きながら投げていたのだ。


監督の元に行ってケンに交代して貰う様に言うと、

「お前に任せる」

そう一言だけ言われた。


ケンに代わってから、2点が追加されたが、やっとチェンジになる。

ベンチに戻ると、全員がうなだれている。

声が出ない。

全員が放心状態であった。


空がどんよりと曇り始め、僕らの気持ちを更に鬱にした。

またもや、野手の正面に打たされて攻撃が早々と終了してしまう。


応援席から落胆の声が漏れ始め、パラパラと霧雨が降り始めた。