「黒田のこと・・・」


ああ・・・


「まあな・・・結構、賭けだったんだよな・・・」

「うん・・・でも、私も怒鳴られちゃった」

マイは僕をチラッと見た。

「うん、俺、後で殴られるんじゃ無いかと思った」

マイが「もう」と言いながら、笑って僕の肩を叩いた。


茜色の太陽が僕らを照らす。


「ねえ?」

「うん?」


マイは一呼吸置いて、僕に尋ねた。


「行ける・・・かな?」

「え?」


優しい秋風が吹いている。

マイの髪を揺らした。





「・・・甲子園に・・・」





マイの呟きがはっきりと聞こえる。