夏のカケラ

カズを指名した。

カズは勢い良く立ち上がる。

「ホームランの一点以外は全部コチラのミスからの点数です」

「その通り」

さすがだ。


「これを見る限り、まともに行けば昨日は2対1で勝っていた」


そして、再び見回して、


「もっと言うなら、このホームランも失投だ。だから本当は零点で押さえられる相手だったんだ」


みんなはシュンと成った。

その通りだ。

体したバッターはいなかった。

「一ノ瀬」

監督が僕を呼んだ。

「はい」

僕は立ち上がる。

「お前は何故、交代してすぐのバッターの決め球にインコースを持って来た?」