夏のカケラ

案の定、ボールはベースの向こうを通り過ぎる。


「よく見たぞー!」


アキラが声を掛けていた。

よく見たも何も投げた瞬間分かったじゃ無いか。

僕は再びピッチャーを見据える。



音が無音に成る。



心地良い。



ピッチャーが投げた。



ボールは投げた瞬間に、インコース高目のストライクと分かった。



ボールがゆっくり、僕の胸元に向かって来る。



遅すぎる。



僕は敵の守備位置を確認した。ショートがサードの方に寄っていく。