夏のカケラ

山本さんからマスク等を譲り受け、グランドに出る。


既にピッチャーの近藤さんはマウンドにいた。



ホームベースの上に立つ。



久しぶりだ・・・


試合に出るのは・・・


僕の心臓は爆音を立てていた。


だが、それは緊張からでは無かった。


心が踊っていたのだ。


投球練習を終えて、マウンドに向かった。


「大丈夫か?お前?」


近藤さんが心配そうだ。


そりゃそうだ。


僕は以前にミスしかしなかった。


けど、


僕はあの頃とは違う。


僕は近藤さんに笑いかける。


「サインは僕が出して良いですか?」


僕は近藤さんに聞いた。


近藤さんは、びっくりした顔をして頷く。