はぁ……疲れた。

ゆっくりのんびり館内を回ってたはずなのに、魚の名前とか全然覚えてない。


唯一思い出せるのは……『フジヤマに似てる』
ってYUKIが言った、クエという魚。

……似てるか? いやいや、似てないよねぇ……。

似てるなんて言ったらクエに失礼だっ。




「なーにブツブツ言ってんの?」

「え? あ、ううん、別にっ」

「そう? なんか飲む?」

「うんっ」




水族館を出た私たちは、外の自販機でジュースを買い、歩き出す。

やっぱり外は暑いっ!! アイスなんか持ってたらすぐに溶けそうだ……。




「YUKI……その服、暑くない?」

「暑いよ」

「じゃあなんで黒なんか着てるのー……」




夏に黒いのを見ると、すっごく暑そう……。

ていうか、確か太陽の光を吸収するとかで、実際に暑いし熱いよね。




「俺、黒が好きだから」

「うん……それはなんとなくわかってたけど。 でもさ、汗かくと背中とかシミにならない?」

「あぁ……なるだろうね。 既に汗だくだね」

「……とか言うけど、あんまり汗かいてないような……?」

「それはほら、実は見えないバリアに覆われていまして」

「あぁなるほどっ。ってなるかボケー」




……なんだか、突っ込むのも疲れる。

暑さとYUKIのトークのせいだー……。




「……なんでこんなに暑いのに、そんなに余裕な顔なのー……」

「だからバリアが」

「もうそれはいいってばっ」

「あはは、ごめん。 でも俺、暑いのは好きだから」

「……私8月生まれだけど、暑いのって嫌い」




と言いつつ、寒いのも嫌いなんだよね。

季節で言えば春が1番好きだ。




「サクラって、8月19日生まれ?」




ふと、YUKIが私を見る。