その顔は嬉しそうだったけど、次の瞬間には、寂しそうに視線を落としていた。
彼が何を思ってるのかはわからないけれど、寂しそうな顔に、胸が苦しくなる。
「……YUKI、本当は、何か話があるんじゃないの……?」
どうしてもフジヤマに会いたかった。
本当にラッキーだった。
その言葉が、なんだか気になる。
フジヤマとの間に何かあった? だからどうしても会いたかった?
オフ会の誘いをラッキーだと思うのは、何か理由があったから……?
そう思いながらYUKIを見つめる。
……YUKIは、駅前と同じように少し悩んだあと、小さく首を横に振った。
「何もないよ」
「……でも、フジヤマと会いたかったのは……」
「それは、性別を騙したまま終わるんじゃなくてよかったってこと」
「……本当に?」
「うん」
……YUKIが優しく笑うから、私も笑みを返す。
だけどきっと、何かあるよ。
YUKIは、フジヤマと何かがあった。 だからリアルでフジヤマと会いたかったんだ。
その『何か』って、何……?
……YUKIに聞こうか迷うけれど、聞かないことにした。
聞いても、多分答えてはくれないと思うから……。
何もない。
そう言ったYUKIを、私は静かに見つめるだけだった。



