「そういえば、昼飯どうする? なんか食べてから回ろっか?」
「あー、そうしよっか。ご飯の話をしたらお腹空いてきたっ」
ということで、水族館内にあるレストランでご飯を食べることに。
私は海鮮カレー、YUKIは海鮮カツカレー。
どちらかと言えばYUKIは細身だけど、結構食べる人らしい……。
「なんか、誰かと外で食べるのってスゲー久しぶり」
「いつも家に居るから?」
「まぁね」
「まぁ、私も同じだけどっ」
チャットにハマりまくってる私と同じように、YUKIも頻繁にチャットにインしてる。
似たもの同士、というか、同類だ。
「たまには外出ろよ? 若いんだから」
「YUKIだってまだ若いじゃん」
「おう、心は常に16歳な」
チャット内でいつも聞いてる言葉をYUKI本人の口から聞き、思わず笑みになる。
やっぱり、YUKIはYUKI。 性別は違っても、私の知ってるYUKIだ。
「……リアルでこうやって笑って話せるのって、いいね」
「だな」
「YUKIは、私たち以外とリアルで会ったことってある?」
「ないよ。 だって俺、ネットじゃアレだよ?」
「あ、そっか。 そうだよね」
そうだ、チャットの中のYUKIは女子大生。
会おうって言われても、普通は会わないもんね。
「……あのさ、じゃあ今回は、どうして会う気になったの?」
聞いていいことなのかどうか迷いながらも、YUKIに聞く。
それに対して、YUKIは微笑んでから答えた。
「こんなに長い間、一緒に居たのは初めてだから。
みんなのことを友達だと思っているから、会いたかったんだよ」
「友達……」
「ユージも言ってただろ、『真の友達』って。 俺も同じ」
……そっか。 友達だから……真の、友達だから。
「サクラだってそうだろ?」
「……うん、私も同じ」
「まぁ俺の場合、フジヤマに会いたかったってのもあるんだけどね」
そう言ったYUKIは、どこか遠くを見つめながら淡い笑みを浮かべた。
「どうしてもフジヤマに会いたかった。 フジヤマがオフ会を提案してくれたのは、本当にラッキーだった」



