私は窓側で、YUKIは通路側。
手とか、肩とか……ちょっと動いたら触っちゃうよっ……。
心臓が、すっごくドキドキ鳴ってる……。
「ユージとは、会う約束はしてないの?」
「えっ? あ、うん、全然……」
「この前はいい雰囲気だったのに、これといって進展はない?」
「……な、ないです……」
ユージとは、前と同じようにチャットとメールで話すだけ。
というか、一昨日会ったばかりだし、その状況で進展なんて、展開が早すぎるよっ……。
「ユージもサクラも人見知りだから、進むのが遅そうだな」
ふふっと笑うYUKIは、メガネの位置を直してから私を見た。
「でも積極的に行かないと、誰かに取られるよ?」
「……え?」
「というか、俺がサクラを取る」
「なっ……えっ……!?」
顔がカーッと熱くなり、思わず視線を逸らす。
なんか今、メチャクチャ凄いこと言いませんでしたかっ……!?
もしかしてYUKIって、私のことを……!?
「いや、冗談だよ?」
……えぇ!?
冗談なの!?
「サクラは、からかいがいがある」
「うっ……YUKIの馬鹿っ」
「おう、俺は馬鹿だぜい」
「フジヤマっぽく言うなっ」
「あはは、ごめん」
……と、そんな風にYUKIにからかわれながらも、バスは水族館へと向かっていく。
車内はあちらこちらで笑い声が聞こえ、みんなが楽しそうに話をしている。
私とYUKIも、他の人と同じように笑いながらバスに乗っていた。
そして、15分ほどで水族館に到着。
私たちは1番最後にバスを降り、グーッと背伸びをしたあとに中へと入った。



