「警察呼んで逮捕してもらうよ?」

「いやいや、ただのスキンシップじゃんか」

「フジヤマの存在自体が逮捕レベル」

「あぁなるほど、イケメンはツラいねー」

「なんでそうなる」




……と、いつも通りのやり取りをするYUKIとフジヤマ。

そんな二人を見ていたユージが、私をチラリと見た。






「……フジヤマばっかり、ズルい」

「え、あの……ユージ……?」

「……フジヤマに抱きつかれる前に、ちゃんと避けて」

「あ、はいっ……」




怒ったような顔で言うユージは私の髪をグシャグシャにしたあと、無言でフジヤマに蹴りを入れた。




「痛っ。なんで蹴るんだっ」

「俺の女に無断で抱きついただろ?」

「いやいやいや、サクラは俺ら全員の女だろっ」

「お・れ・の、女だから」




真剣な顔のユージ。

……俺の女……。 私は、ユージの女……。


それを意識した瞬間に心臓がドキドキと大きな音を立て、顔が一気に熱くなる。




「こんなところでノロケかよ。 ったく、若いっていいねぇ」

「フジヤマが抱きつかなきゃよかっただけの話だろ」

「あ、嫉妬か? じゃあユージも抱きつけばいいじゃん。 ほれほれ、サクラはすぐ目の前だぞ?」




ニヤリと笑うフジヤマに、ユージはまた無言で蹴りをお見舞いした。

その近くで、YUKIはクスクスと笑っている。




「あ、あのっ……色々な人が、見てますっ……」




慌てて声をかけるけど、ユージとフジヤマは相変わらず言い合っていて。

YUKIもそこに加わり、なんだか更にヒドい状態に……。






「ちょ、ちょっと……みんな、そろそろ行こうよっ……!!」




たくさんの人に見られ、さっきとは違った意味で顔が赤くなる中、私は3人を連れて駅の中へと入った。